「運べないリスク」を回避する。2030 年に向けたサプライチェーン再構築の視点

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中村 彰洋

株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティング 
サプライチェーン支援部
シェアリング物流チーム チームリーダー チーフコンサルタント

2024 年 4 月トラックドライバーの労働時間規制適用から、まもなく 2 年が経過しようとしております。 多くの企業において、現場での「運び手不足」の影響が少しずつ、確実に表面化してきているのではないでしょうか。

本日は、目前に迫る「2030 年問題」を見据え、これからの物流戦略に不可欠な「視点の転換」について、最新の業界動向を交えてお話しします。

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「運べない危機」の正体と、見過ごされている余剰

「トラックが捕まらない」「運賃が高騰している」 物流現場では、こうした声が日々高まっています。 公的な予測でも、有効な対策を講じなければ 2030 年には輸送能力が約 34%不足し、経済活動の 3 割がストップする可能性が指摘されています。

しかし、この「不足」の裏側には、意外な事実が隠されています。

現在の国内営業用トラックの積載効率は、約 40%程度で推移しています。 つまり、日本のトラックは「荷台の半分以上、空気を運んでいる」というのが実態なのです。

人手不足が叫ばれる一方で、実は既存のリソース(トラックの空きスペース)は十分に活用されていません。このミスマッチこそが、物流クライシスの本質であり、同時に解決への最大の糸口でもあります。

「競争」領域から「共創」領域へ

これまで、物流網の構築は各企業の「競争領域」でした。 自社専用のセンターを構え、自社専用の便を走らせることが、サービスレベルの維持や差別化につながると考えられてきたからです。

しかし、ドライバーというリソースそのものが枯渇するこれからの時代において、一社単独での最適化(囲い込み)は限界を迎えます。

そこで今、業界全体で注目されているのが、「シェアリング物流」です。

企業や業界の垣根を超えて、トラックや倉庫、そしてデータを「シェア(共有)」する。競合企業であっても、物流に関しては手を組む。 そうした「競争から共創へ」のパラダイムシフトが、すでに先進的な企業の間で始まっています。

「つながり」が生む劇的なコスト適正化

実際に、ある製造業の企業(年商 200 億円・電設部品製造業)では、定期輸送ルートの一部で、これまでの商習慣から出荷物量に関係なく大型トラックの車両を手配していました。弊社に物流面見直しの相談をいただき、実態が発覚したのです。非効率な輸送の見直しとバラ積みで行っていた輸送を、弊社ネットワークによる他社との「共同配送」およびパレット輸送へ切り替えの提案を行い、実際に実施されました。

その結果は劇的です。 以前は 20%程度の積載率の輸送が、共同配送を導入したことで積載率が 85%まで向上。 無駄なトラックの手配が改善されたことで、物流コストにおいても約 29%削減されました。

「シェアリング」は単なる理想論ではなく、コスト構造を抜本的に変革する実利ある戦略として機能しています。

まずは「スモールスタート」から

とはいえ、いきなり他社とシステムを統合したり、大規模な提携を結んだりするのはハードルが高いものです。 まずは自社の積載率をデータで可視化する、あるいは特定の路線だけで共同配送のパートナーを探してみる。 そうした「スモールスタート」から始めることが、成功への近道です。

弊社では、こうした新しい物流モデルの実装をご検討される企業に向けて、具体的な進め方やパートナー選定に取り組んでおります。

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「物流コストがさらに上がる」「ドライバー確保がますます難しくなる」「規制強化にどう対応すればいいのか」「もう時間がない…間に合わないのでは」このような不安を抱えているのは、あなただけではありません。

貴社の次期戦略をより強固なものにする一助となればと存じます。

今後も、変化する物流環境に対応するための有益な情報をお届けしてまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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中村 彰洋

株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティング 
サプライチェーン支援部
シェアリング物流チーム チームリーダー チーフコンサルタント

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