現場出身の管理職を経営脳に変える方法
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なぜ運送会社の管理職はプレイヤーから抜け出せないのか?
運送会社では、現場出身者が管理職になるケースが多いのではないでしょうか。現場の実情を理解し、顧客との関係性も築いてきた人材であることは、確かに大きな強みです。
しかし一方で、昇格後も仕事の中身が大きく変わらないという状況も少なくありません。日々のトラブル対応、急な車両手配、個別案件の調整に追われ、部門全体の収支管理や育成計画は後回しになり、「管理職」でありながらプレイヤー業務から抜け出せない。これは本人の力量というよりも、会社として管理職育成を仕組化できていないことが原因である場合が多いです。
営業所長を「現場の延長」から「拠点の経営者」へ変える。言語化と教育の力
ある企業では、まず管理職に求める権限と責任を整理しました。営業所長は「営業所の予算に対する責任を持つ」、「人材育成計画を策定し実行する」、「安全・教育の統括責任を負う」という役割を箇条書きにして明文化。同時に、どこまでを自ら判断し、どこからを経営に上げるのかを明確にしました。曖昧だった立場を言語化し、管理職本人に求められることを認識させました。
さらに、管理職に必要な知識やスキルを会社がまとめて研修を作成、研修受講者のみを管理職に引き上げるようにしました。一般的な管理職研修ではなく、運送業や自社の実務に直結する内容に絞り、労務管理、運行管理、収支管理、会議運営など、部門を「経営する」ために必要なテーマを複数回に分けて段階的に設計しました。
現場の強みを「経営の武器」へ。数年後の命運を分ける管理職育成の本気度
その結果、会議では「忙しい」「人が足りない」といった抽象的な議論が減り、拘束時間や粗利率、事故件数といった具体的な数値をもとに話が進み、課題が可視化されることで、対策も明確になり、若手の育成も「空いているときに教える」から「計画的に任せる」へと変化。管理職が自らの役割を言葉で説明できる状態が整い、組織の動きが安定していきました。
管理職の役割が増す中で、現場を知る強みを活かしながら、経営視点を持つ管理職へ育てられているか。そこに本気で向き合えるかどうかが、数年後の会社の姿を分けることになるかもしれません。



