その取引大丈夫?見落としがちな“着荷主”の指示内容
目次
物効法から1年、着荷主へ広がる規制の波
物効法で各企業における荷待ち・荷役時間短縮の努力義務が適用されてから、1年以上が経過しました。法律内では発荷主だけでなく、物流取引(契約)に直接関与していない「着荷主」も対象にすることで、サプライチェーン全体で責任の所在を見直す契機になりました。
さらには2025年12月には、トラック・物流Gメンが初めて、着荷主に対する勧告を発令しました。
これまでは、発荷主がいくら改善に向けた働きかけをしても、着荷主の理解が得られなければ、荷待ち・荷役時間の短縮にはつながりませんでした。しかし、この出来事からさらなる着荷主への規制が強化されることになりました。
【2027年4月施行予定】物流特殊指定の改正動向
2026年3月10日、公正取引委員会と中小企業庁が企業取引研究会での議論を踏まえて、物流特殊指定を改正し、着荷主に新たな規制対象を加える方向性を示しました。一般の意見公募の内容を踏まえて、2027年4月に改正法が施行される予定となっています。
※物流特殊指定の詳細は、以下の過去コラムをご参照ください。
「取適法」と「物流特殊指定」の違い
混在しやすいのが、物流特殊指定と取適法です。既存の取適法と物流特殊指定の改正にどのような違いがあるのか、以下の図で整理しましょう。
荷待ち・荷役発生の真因と着荷主への交渉の壁
取適法は、従来元請運送事業者と委託事業者(〇次請運送事業者)の取引適正化を目的とするものでした(旧名称:下請法)。
2026年1月の法改正により、発荷主と元請運送事業者の運送取引も対象となりました。
ここでポイントなのが、「発荷主」のみに焦点が当てられているということです。これまでの物流取引を見直す中で、調整に苦労するのが、着荷主の存在です。着荷主は直接トラックの手配に関わっていないため、「荷待ち」や「荷役作業」を要請しているという認識がされづらいという実態があります。
一方で「荷待ち」や「荷役作業」発生の要因を辿ると、着荷主側の業務設計に要因が潜んでいることが少なくありません。実際の事例でこのような出来事がありました。
“11:30に工場に到着したが、作業員が昼休憩に入ったため、午後からでないと荷受けできないため、荷待ちが発生”
商習慣の罠「待たせて当たり前」からの脱却
昼休憩に入る時間がわかれば、その時間を避ける。また、昼休憩を一斉ではなく、シフト制にする。
単純ですが、このような改善策はすぐに思いつくでしょう。
しかしながら、発荷主からすると着荷主への取引の関係上、交渉事をすることで他社へ切り替えられてしまう、言っても聞いてもらえない、という固定概念があることでしょう。
同じ比較ではないかもしれませんが、飲食店で自身が注文した食事が1時間も出てこないとクレームを言いたくなりませんか。しかし、物流業界においては、待たせて当たり前・しょうがない、という商習慣になっています。
罰則リスクの認知と今後の議論への注視
業界的にやむを得ないということではなく、異常な事態であるということ、それが自社だけでなく取引先にも関係する、そして対応を怠ると罰則になるというリスクを改めて認知する必要があります。
着荷主への規制が強化される一方で、4月に発表されたパブリックコメントでは、着荷主規制に見直しの意見が提示されました。来年の施行に向けてまだまだ議論は継続されるようです。今後の動向を把握しつつ、自社や取引先への荷待ち・荷役作業の削減に向けた取り組みを進めていきましょう。
参考資料:公正取引委員会、中小企業庁 第4回企業取引研究会 資料より抜粋(PDFリンク)


